ロドプシンとは
私たちが目で見たものは、目の一番奥の
スクリーンの役割をしている網膜に映し出されますが、
これだけではものは見えないんですね。
その網膜には、片目で1億個以上もの
視細胞という、とても重要な細胞があります。
この視細胞の役割は、網膜に映し出された見たものの情報、
つまり光の情報を、脳がきちんと理解できる電気信号に変え、
視神経を通して脳に送ってあげることなのです。
そして、この電気信号が脳に届くことで
初めて私たちは目でものが見える、
という仕組みになっているんですね。
この視細胞の中で、電気信号をつくり出しているのが、
ロドプシンと呼ばれるタンパク質です。
このロドプシンは、
目で見たもの、つまり光の情報を受けると分解され、
同時に電気が発生して、視神経を通り脳にこの情報が伝わります。
さらに分解されたロドプシンは、光の情報としての刺激がなくなると
同時に再合成され、もとにもどるという性質をもっていて、
次の光の情報を受け取るための準備をしています。
ロドプシンは分解されたままだと、いずれはなくなってしまうので、
きちんと再合成されることが必要なんですね。
このように、私たちが目でものを見ている限り
ロドプシンは、自ら分解と再合成を繰り返し行っています。
このロドプシンの再合成の働きがよいほど、
すみずみまで物がはっきりと見えます。
しかし、老化が進んだり目を酷使したりすると
ロドプシンの再合成のスピードが落ちて、
分解する速さに追いついていけなくなります。
そのため、ものが見えづらくなるという
症状が出てしまうのです。
またこのロドプシンというタンパク質は、
光が十分にある、明るいところで働くものではなく
主に光が少ない、ある一定の暗さの中で働く役割を担っています。